00109_「ベンチャー企業経営者が陥りがちなビジネス・マネー・人生全般における失敗」の傾向と対策_4_何かを改善しようとしたり、何らかの課題を対処しようとして、闇雲に突き進む前に、やるべき大事なこと

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本コンテンツシリーズは、アジア経営者連合会「ALA経営塾」主催にて、令和3(2021)年3月25日(木)17時30分開始にて行われました、弁護士畑中鐵丸の講演「組織と個人の用心棒、顧問弁護士の使い倒し方・ベンチャー企業経営者特有の失敗の傾向と対策~ベンチャー企業経営者なら皆さん身に覚えがあるビジネスやプライベイトの失敗事例と対策のための”あの手・この手・奥の手”を25年超のキャリアをもつベンチャー弁護士が直接伝授します~」の講演レジュメ及び講演録から編集したものです。なお、本講演内容は、筆者(講師)独自の見解であり、所属組織及びアジア経営者連合会ないしALA経営塾のものとは一切関係ありません。
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「笑いが止まらないくらい、楽しい人生を送る」
「不安やストレスのない人生を送る」
という抽象的なことを思い描くだけでは、全く人生は変わりません。
闇雲に方法論を探し始めても、見つかりません。
努力をしたり、何かに没頭しても、同じです。

仕事に置き換えて考えてみれば簡単に理解できます。

何かを改善させたり、新しい何かを構築したりするプロジェクトマネジメントや、
リスクや課題に対処して問題を解決するプロジェクトマネジメント、
を任された、とします。
この種のプロジェクトの開始に際して、
「何から着手すべきか」、
と考えてみれば、わかります。

それは、あったりまえのことですが、
「成長発展のゴール(ゴールデザイン)」

「課題やリスクの発見・特定(課題の定義)」
です。

とはいえ、こんな簡単なこともおざなりにしておいて、やおら、無目的にプロジェクトに着手するような壮絶なアホもいるので、注意が必要です。

たとえば、ここに東大を強く志望する高校生がいたとします。

この高校生が、一生懸命、走り込みや、筋トレをやっています。

曰く、
「ボクは、小学校の先生からも、中学の先生からも、公務員をやっているお父さんからも、専業主婦としてパートで頑張っているお母さんからも、ボクが大好きで尊敬する、善良を絵に書いたようなみんなから、こういわれて育った。
『努力は尊い。努力はいつか報われる。失敗をおそれるな』と。だからこうやって、走り込みや筋トレをして、体を鍛え、誰にも負けない運動性能と体力を身に着け、東大に合格するんだ。こんなに、体力を鍛え、努力しているんだから、神様はきっと見放さない。いつか、ボクは東大に合格するはずだ」
と。

しかし、残念ながら、この高校生は、10年浪人しようが、50年浪人しようが、東大に合格することはないでしょう。

理由はかんたんです。

東大の受験科目には、体育がないからです。

だから、どんなに走り込みをしたり、筋トレをしたりして、体育の点数を向上改善させても、それが、どんなに苦労を伴い、負荷がかかり、尊い、立派な努力であっても、その努力は、東大合格、という点に限っては、全く意味がありません。

なぜか。

対処課題をはっきりさせないまま、闇雲に努力をしているからです。

努力が、目的に結びついていないからです。

努力が、目的から逆算された、合理的で有益なものではないからです。

もっといえば、そもそも、自分の適性や能力に見合った目的の設定がなされていなかったのかもしれません。

大事なことは、頑張ることではありません。

まず、行うべきは、ゴール・デザインや、課題の発見・特定・定義です。

これを行う前に、闇雲に資源動員しても、無駄になるだけです。

著:畑中鐵丸