00110_「ベンチャー企業経営者が陥りがちなビジネス・マネー・人生全般における失敗」の傾向と対策_5_ゴールデザイン、課題定義、プロジェクトの進め方について

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本コンテンツシリーズは、アジア経営者連合会「ALA経営塾」主催にて、令和3(2021)年3月25日(木)17時30分開始にて行われました、弁護士畑中鐵丸の講演「組織と個人の用心棒、顧問弁護士の使い倒し方・ベンチャー企業経営者特有の失敗の傾向と対策~ベンチャー企業経営者なら皆さん身に覚えがあるビジネスやプライベイトの失敗事例と対策のための”あの手・この手・奥の手”を25年超のキャリアをもつベンチャー弁護士が直接伝授します~」の講演レジュメ及び講演録から編集したものです。なお、本講演内容は、筆者(講師)独自の見解であり、所属組織及びアジア経営者連合会ないしALA経営塾のものとは一切関係ありません。
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1、ゴールデザインの手法

夢と目標は違います。

夢は妄想であり現実性がありません。

目標は、「S・M・A・R・T」の要素が含まれたものであるべきです。

すなわち、
”S”pecific(具体的)で、
”M”easurable(測定可能)で、
”A”chievableで、
”R”elated(悩みや課題を解消するものに関連)したもので、
”T”ime-bound(時間的な制約)が設定されたもの
でなければなりません。

2、課題定義の手法

リスクと不安も違います。

不安に駆られて闇雲に行動しても空回りして資源を消耗するだけです。

リスクは発見され、具体化され、特定され、明確に定義されるべきものです。

索敵の重要性を説く軍事上の格言として「見えない敵は討てない」というものがありますが、「発見され、具体化され、特定され、明瞭に定義されたリスク」を所与として、初めて、制御(マネジ)という営みを観念することが可能となります。

このプロセスを経由せず、方法論をかき集めて、何かに没頭して、闇雲に動き回っても、空回りであり、資源の無駄です。

3、プロジェクト・ロードマップ

不安やストレスを抱えたことを契機としてこれをロジカルに解決・改善するのは、以下のような段階をたどります。

不安やストレス(明瞭な言語化がされない、漠然としたもの)の段階

悩み(言語化された具体的なもの)の段階

目的設定や課題の発見・定義(論理と法則と現実性が加わったプロジェクトのターゲットとなったもの)の段階

目的達成・課題対処設計(展開予測と動員資源計画と役割分担や責任体制が整備されたもの)の段階

目的達成・課題対処実施(プロジェクトキックオフ)の段階、
という形です。

1)単なる、漠然として、実体が曖昧な「不安やストレス」から言語化された明確な「悩み」へ

不安やストレスの段階は、「言語化」されて、はじめて、悩みの段階にアップグレードします。

すなわち、

不安やストレス(明瞭な言語化がされない、漠然としたもの)の段階

+「言語化」

悩み(言語化された具体的なもの)の段階

という形で公式化されます。

2)「悩み」の段階から、「目的設定や課題の発見・定義」の段階へ

「悩み」の段階は、「(愚劣な情緒ではなく)論理的・現実的(現実的=予算動員前提の意味)解決志向と、冷徹な原因分析や、不愉快な展開予測やトレードオフシナリオの受容 」があって、はじめて、「目的設定や課題発見・定義」の段階にアップグレードします。

すなわち、

「悩み」の段階

+「(愚劣な情緒ではなく)論理的・現実的(現実的=予算動員前提の意味)解決志向と、冷徹な原因分析や、不愉快な展開予測やトレードオフシナリオの受容 」

「目的や課題発見・定義」の段階

という形で公式化されます。

3)「目的設定や課題発見・定義」の段階から「目的達成や課題対処設計(プロジェクト企画)の段階」へ

「目的設定や課題発見・定義」の段階は、「知性と経験とスキルといった知的資源(当該資源がなければ予算資源)」を動員してはじめて、「目的達成や課題対処設計(プロジェクト企画)」の段階にアップグレードします。

「目的設定や課題発見・定義」の段階

+「知性と経験とスキルといった知的資源(当該資源がなければ予算資源)」の動員

「目的達成や課題対処設計(プロジェクト企画)」の段階

という形で公式化されます。

4)「目的達成や課題対処設計(プロジェクト企画)」の段階から「目的達成や課題対処実施(プロジェクトキックオフ)」の段階へ

「目的達成や課題対処設計(プロジェクト企画)」の段階は、「遂行のための人的資源の調達・体制化・動員環境(予算)」が整備されてはじめて、課題対処実施(プロジェクトキックオフ)の段階にアップグレードします。

「目的達成や課題対処設計(プロジェクト企画)」の段階

+「遂行のための人的資源の調達・体制化・動員環境(予算)」の整備

「目的達成や課題対処実施(プロジェクトキックオフ)」の段階

と公式化されます。

4、経営者失敗あるある

経営者から、何やらプロジェクトらしきものがあって、これが「どうのこうの」「滑った、転んだ」云々(要するにうまく行っていない)、とおっしゃられる場合があります。

ただ、このような場合、ほとんどが、状況や課題や目指すべき目標そのものが、まともな言葉になっていない、「不安やストレス」の段階であり、もう少し、言語化する必要がある、という場合がほとんどです。

「悩み」として言語化され、プロジェクトオーナーとして、  「(愚劣な情緒ではなく)論理的・現実的(現実的=予算動員前提の意味)解決志向と、冷徹な原因分析や、不愉快な展開予測やトレードオフシナリオの受容」という態度決定があって、はじめて、「目的」や「課題」として認識されることになります。

しかし、経営者によっては、
・ 現実的(現実的=予算動員前提の意味)解決志向
・ 不愉快な展開予測
・ トレードオフシナリオ(改善のための行動を取ると、波風が立ったり、返り血を浴びる。骨を断つために肉を斬らせるような筋書き)
を嫌悪して、そこからなかなか先に進まず、茹でガエル状態になって、際限なき状況悪化を自ら招くパターンに陥ることもあります。

上記のような負の連鎖を断ち切るような成熟さと思考の現実性、予算資源に関する考え方(何でもかんでもケチればいい、というものではなく、現実的な予算策定をして、従前な稼働環境を整えるべき)の適正化が課題だったりします。

著:畑中鐵丸