00072_苛酷な社会を生き抜くための「正しい非常識」1_(1)世の中、大事な話ほど、本に載っていない_20180420

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本コンテンツシリーズにおいては、個人で商売する方や、資産家や投資家や企業のオーナー経営者の方、出世して成功しようという意欲に燃える若い方、言い換えれば、「お金持ちや小金持ち、あるいはこれを目指す野心家の方々」へのリテラシー啓蒙として、「ビジネス弁護士として、無駄に四半世紀ほど、カネや欲にまつわるエゴの衝突の最前線を歩んできた、認知度も好感度もイマイチの、畑中鐵丸」の矮小にして独善的な知識と経験に基づく、処世のための「正しい非常識」をいくつか記しておたいと思います。
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世の中、大事な話、役に立つ話、リアルな現実ほど、本に書いていませんし、新聞やテレビで報道してくれませんし、学校の先生や、(一般のサラリーマンをしている)お父さんやお母さんも教えてくれません。

というか、学校の先生や、(一般のサラリーマンをしている)お父さんやお母さんは、そもそも、大事な話、役に立つ話、リアルな現実をあまり知らずに生きてこられたか、あるいは、
「自由競争による富の獲得・蓄積を目指す資本主義社会の壮絶かつリアルな最前線ないし現場」
を縁遠い存在として距離を置き、
「ビジネスにおいて成功を勝ち取るための重要なリテラシー」
に背を向けて生きてこられた方
が多いのではないでしょうか。

そんな方々(「自由競争による富の獲得・蓄積を目指す資本主義社会の壮絶かつリアルな最前線ないし現場」を縁遠い存在として距離を置き、「ビジネスにおいて成功を勝ち取るための重要なリテラシー」に背を向けて生きてこられた方々)の話を真に受けていては、ビジネスの世界では成功するどころか、失敗し、あるいは、成果を挙げられずに退場させられるか、隅っこで冷や飯を食わされながら飼い殺しにされる地位に追いやられます。

無論、本や新聞をよく読めば、難解な専門用語で書いてあったり、脚注等にものすごくわかりにくく小さく書いてあったり、前後の文脈から行間を推理・解釈するとぼんやりわかる程度に書いてある場合も、あります。

要するに、大事な話、役に立つ話、リアルな現実ほど、マジョリティの目に触れないよう、公式情報からは遮断されているのが現状です。

じゃあ、公式情報として表に出てこない世の中の本質を、どうやって知るか?

それが、知性です。

本当の勉強というのは、この種の知性を身につけることです。

周囲に流されず、良質な本を読み、成功した人間から正しい情報を得ることを通じて、初めて身につけることのできる、本物の知性です。

そういう情報は、一握りの人間によって独占されていますし、独占している階層の人間は、この知恵を、よほどの理由がない限り、明かしません。

競争者を増やして、自分たちの快適な地位を脅かすアホがどこにいますか?

本当の処世のためのリテラシーやスキルを身につけるのは、単に、成功している人間のスタイルや外見や表層だけマネてもダメです。

「金運上昇のためには『ワニ革の長財布』『ヘビ革の茶色の財布』(ワニもヘビも食いついたら離さないので、カネをがっちり掴む、という話から)が持つことが大事で、金持ちはだいたいこのことを実践している」
という話を聞いて、若者が、この種の財布を分不相応なまでの大枚をはたいて買ったはいいが、金運は上昇せず、貧困にあえでいる、という話があります。

私は、この話は、半分本当で、半分間違っている、と思います。

私が仕事でお付き合いしたことのある日本有数のお金持ちは、そもそも財布を持っていない、という方が結構いらっしゃいます。

中には、すべて顔でツケが利くのでクレジットカードすら持たず、封筒に1万円札と1000円札が何枚か入っていて、タクシー等を使ってもお釣りを受け取らない、という豪快な方もいます。

その方は、財布を開けて、中身を覗いて、お札を取り出している姿がいかにもみみっちくて不格好だし、財布をポケットに入れると、ズボンやジャケットの形が崩れて見栄えが悪い、と言っていました。

お金持ちの中には、金運上昇を信じて財布にこだわる人もいれば、徹底して無頓着な人もいます。

ただ、財布にヘビがいいとか、ワニがいいとか、黒とか茶色とか、という話のキモは、どんなお金持ちでも、
「人智の及ばない領域」
を認識し、そのことに保守的・謙抑的に捉え、慢心の戒めとしたりしている、ということだと思います。

前述の
「財布をもたない大金持ち」
も、実は、事務所に大きな熊手が飾ってあったり、神棚のお供え物を毎朝とりかえていたり、事務所を風水で設計したりしているかもしれません。

それは、人生いろいろ、スピリチャルいろいろで、資本主義社会で成功される方は、そのあたり、自分なりの哲学や価値観やスタイルを確立して、それぞれに適合した形で実践されている、ということでしょう。

財布を変えただけで金持ちになれる、のであれば、世の中、金持ちで満ち溢れているはずです。

脱線してしまいましたが、本当に大事な話、役に立つ話、リアルな現実というのは、公式情報からはほとんど読み取れません。

また、表層情報に踊らされ、猿真似をして外見だけをなぞってもまったく意味がありません。

資本主義社会において成果を挙げて、居場所を見つけ、事業家として、企業人として、あるいは投資家として、快適で愉快な人生を送るためには、間違いだらけの公式情報を
「ノイズ」
として遮断・排除し、公式には表立って記述・報道されない重要情報を見つけ出し、本質を理解し、自分に適用可能な形で、解釈し、応用していく、そんな知的な力が必要です。

この種の、総合的な情報解釈・運用技術を、インテリジェンスとかリテラシーといったりすることがあります。

一昔前、
「情報」あるいは「情報が格納された媒体」
を保有していることは、それだけで、それらを持たざる者に対して、比較優位に立ち、優越感に浸ることができました。

この種の優越感を前提に、一時、裕福な田舎の農家に百科事典の全巻セットを訪問販売する、というビジネスが展開され、およそ読みもしない豪華で高価ま百科事典が飛ぶように売れたのは、(読んだり、活用したりすることはなくとも、)
「情報」あるいは「情報が格納された媒体」
を保有していることで知的優位性を誇示できる、という社会認識が前提にあったからです。

しかしながら、今や、百科事典に載っているような情報など、インターネットと検索サイトを使えば、瞬時に無料で手に入ります。

弁護士稼業が本業の私ですら、六法も判例集も数年前から購入・保有せず、ネットで使える有料のデータベースサービスに代替しています。

要するに、インターネットの登場によって、情報そのものが陳腐化、無価値化、コモディティ化してしまった現在、決定的な価値と意味をもつのは、information(インフォメーション。情報)ではなく、情報から本質を導き出し、自己のために解釈運用するためのintelligence(インテリジェンス。知識、知恵、智慧)であり、literacy(リテラシー。教養、本質的・機能的理解力)なのです。

したがって、まずは、公式情報を鵜呑みにし、踊らされることではなく、公式情報の裏や行間や、
「偽装のため、難解で抽象的で多義的な言葉でごまかされた部分」等
から、本質を読み取り、自由自在に解釈運用することのできる力が、ビジネス社会や苛酷な競争が所与となる現代社会を生き抜く上では、決定的に重要になります。

著:畑中鐵丸

初出:『筆鋒鋭利』No.128、「ポリスマガジン」誌、2018年4月号(2018年3月20日発売)

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