00052_成功者たちは“現”のつくものを大事にする_20080220

ローマ帝国の礎を作ったユリウス・カエサルはかつてこのようにいったそうです。

「人は、自分の見たいと思う現実しか見ない」

人間心理の天才カエサルらしい言葉ですが、マジョリティの思考や行動をみていると、つくづく納得させられる一言です。

私は、友人や知人等含め
「『その他大勢』から抜きん出て、人の上に立つ成功者やリーダーといった方々」
の行動や哲学に直接触れる機会に恵まれています。

このような経験に基づく実感ですが、成功者やリーダーといわれる人たちは、例外なく徹底したリアリストで、自分の見たいと思う現実、すなわち自分の主観を排除して、物事を客観的に観察し、徹底して現実に即したジャッジをしているように思えます。

そして、そんな成功者たちが最も大事にするものは、「現」のつくものです。

現実、現場、現物、現金。

成功者たちはこれらを決しておろそかにしません。

逆に、失敗する人たちの特徴は、これとまったく逆です。

つまらない現実よりも、根拠のない、壮大な計画が大好きで、いつもこれに振り回されています。

また、遠くて汚くて細かい話ばかりの現場は大嫌いで、綺麗な机の上で遠大で抽象的な話をしたがります。

現物を直接手にして右から左に動かす取引は、たとえそれなりに儲かっていても、「手間がかかり、利益も少ない」といっては突然放棄してしまい、ソフトウェアやネットビジネスやM&Aのような、実感のないビジネスで大きく儲けることを夢みます。

さらに、現金と債権は常に同じと考えており、ろくに信用管理・債権管理をせず、商品やサービスを提供し、請求書を送っただけで、現金を手にしたのと同じと考えています。

いうまでもなく、「現」を大事にせず、地に足のつかない話を追いかけるような方々はすべからく失敗し、最後には、時間も労力も無駄にし、財産をなくします。

私もこの職業に付く前は、
「お金持ちやリーダーというのは、綺麗なオフィスの高価な机の上で、大所高所の議論をし、適当な指示を伝えるだけだ」
などと勝手な想像をしていました。

しかし、実際には、優秀なリーダーになればなるほど、常に正確な情報を大量に収集し、これらを緻密に整理し、自分の主観を交えず多方面からの意見を得て客観的に分析・検証し、現場に出向き、最前線に立ち、末端に至るまで事細かな指示を出し、経過や進捗を頻繁にチェックします。

また、何代も続く資産家ほど、暮らしぶりは質素で、資産の運用方法は保守的で、現実味の話には一切踊らされませんし、いざ投資をするときもリスクを入念に調べあげ十重二十重にリスクをヘッジします。

「子供にはゆとりの心や情操教育が必要」
などいわれることがありますが、成長期の脳の活動を休止させ、夢や幻想やファンタジーばかり教え込むと、現実と架空の区別ができず、現実を軽視するような人間しかできなくなります。

国際ビジネスや金融の世界で圧倒的なリーダーシップを誇るユダヤ民族は、子供に過酷な現実とこれに対する現実的な対処方法を、また、何より、現物や現金を大事にする生き方を教えるなどとも聞きます。

正面から現実を直視することは精神的には大変つらいときもありますが、私としても、優秀なリーダーたちを見習い、
「自分の見たいと思う現実」
を極力排し、
「現」のつくものを大切にして、地味ながら堅実に成長・成功していきたいと思っています。

著:畑中鐵丸

初出:『筆鋒鋭利』No.006、「ポリスマガジン」誌、2008年2月号(2008年2月20日発売)

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