00008_婚前契約というのは、どこまで意味があるのか

最近、日本でも婚前契約が普及してきた、というニュースがありました。

どんな内容なんでしょうか?

「浮気したら、2000万円払う」とか?

こんな契約書、本気で作るんでしょうか?

民法132条
「不法な条件を付した法律行為は、無効とする。不法な行為をしないことを条件とするものも、同様とする。」
をみる限り、どこまで有効か、疑問です。

せっかくお金をかけて契約を作っても、裁判で無効と判断されたりしないのでしょうか?

ネットをみたら、行政書士が婚前契約アドバイスサービスをやっているようですが、きちんとした法律知識に基づき、正しい指導がなされているのか、そもそも弁護士法の抵触問題も含め、大丈夫なんでしょうか、という印象をもってしまいます。

そもそも、民法には、婚前契約なんて代物、書かれていません。

あるのは、夫婦財産契約、と呼ばれるものであり、この契約の対象となる事項は夫婦の法定財産制(第2款=760条~762条)に関するものです。

これは、別に、
「夫婦のうち、弱い立場にある人間のことを同情して、法がか弱き配偶者の一方を保護してあげよう」
という正しく、美しい気持ちで、作られた条文ではありません。

夫婦間において、法律で決まっているものと異なる財産秩序を勝手に決めた場合、困るのは、そのような夫婦の内情を知らない取引相手や第三者。

身勝手なローカルルールで、取引社会に混乱を与えないよう、
「夫婦間で勝手な取り決めしても構わないが、あんまり、社会や他人に迷惑かけんなよ」
という限定付で、認めてやる、というスタンスです。

だから、夫婦財産契約については、登記が要求されています。

婚前契約に、いろいろ夢や幻想を抱くのは自由ですが、
「浮気したら大金もらえる」
みたいな雑なイメージを抱くと、あとで痛い目に遭うかもしれません。

そもそも、夫に財産や収入がなければ、浮気されようが離婚しようが、たいしたお金は手に入りません。

しかも、浮気の慰謝料というのは、法的に相場が決まっており、裁判例等を調べればわかりますが、びっくりするくらい低い金額です。

具体的な裁判例としては、
「(夫は)時々の自己の感情の赴くまま単独で、あるいは愛人A、愛人Bを随伴して旅行に出かけるなどし、これらの夫の身勝手な行動によって妻が相当程度の心労を被ったことは想像に難くない。以上の諸事情のほか、本件に現れた諸般の事情を考慮すると、夫が妻に支払うべき慰謝料額は80万円が相当である」(東京地方裁判所判決平成17年2月22日判決要旨)
のようなものがありますが、要するに、やりたい放題しても慰藉料は80万円しか認められないのです。

「裁判における慰藉料相場」
としては、一般にいわれているには100万円前後であり、暴力等の、かなりひどい状況があっても300万円を超える慰謝料を取るのは困難といわれています。

先程の民法132条もありますが、よしんばこの規定をクリアしたとしても、あまり多額な違約罰となると、公序良俗違反(暴利行為)となって、裁判官はあまりいい顔をしないかもしれません。

ともかく、婚前契約、まだまだ各種問題や論点がありそうですし、そもそも、お互いそれほど財産がなければ、無意味なものです。

さらにそもそも論のお話いとして、
「婚前契約の条件を取り決める」
といいますが、結婚の話を進める中で、こんな話、スムーズに進むのでしょうか?

結婚の話を前に進めるだけでも大変です。

それなのに、離婚の際の取り決めがスムーズかつスピーディーに進むとは到底思えません。

「離婚の条件決まらないから、なかなか結婚できない」
なんて、笑い話のような状況がそのうち出てくるのではないでしょうか。

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