00128_アフターコロナ・令和の時代を読み解く_20210320

一昨年から、元号が令和に変わりました(記事を書いた当時は2021年2月です)。

昨年(2020年)から新型コロナウィルスが感染拡大し、2021年の今に至ってもなお猛威を振るっています。

非科学的なこと、スピリチャルなことを申し上げますと、西洋占星術では、2020年12月22日を境に、産業革命から始まり200年続いた、大量生産・大量消費を前提として人々が物や形あるものを
「所有」すること
を求める
「土の時代」
から、情報や知識など形のないもの・伝達や教育などが重視され、人々は何より
「知る」豊かさ
を求めていく
「風の時代」
に変わったなどといわれています。

いずれにせよ、ここ1、2年で、時代が激変したことは、諸事鈍感な私でも、ビンビン感じる今日このごろです。

本稿では、今後、
「アフターコロナ・令和」
の時代になって、社会がどのように変わるのか、について、私なりの、いつものように独断と偏見に基づく雑感を述べてみたいと思います。

1、古臭いものや不条理なものが消え去る時代

ちょっと前までは、昭和や平成初期のころまでにでき上がった古臭いものや、無駄なもの、陳腐なもの、意味や価値が不明な建前や虚構や不条理が惰性でまかり通っていました。

しかし、令和になり、新型コロナの感染拡大に伴って、古臭いものや、無駄なもの、陳腐なもの、意味や価値が不明な建前や虚構や不条理がたちまち消え去り、しかもその消え去るスピードが今までは考えられなかったほどの速さになったような気がします。

具体的には、男尊女卑といった価値観、銀座のクラブで遅くまでダラダラ時間を過ごすというナイトライフ、取引や会議は雁首揃えて対面でという非効率なコミュニケーションや意思決定方法等。

こういう古臭いスタイルや価値観は、リモートでその非効率っぷりが顕著となり、また、その不条理さや歪さはSNSで一挙に拡散し、世論となって、消え去る圧力が形成されるようになりました。

今後も、平成時代にまかり通っていた、このような古臭い、カビ臭い、不条理や非効率がどんどん消え去っていくものと考えられます。

2、ヒトに優しくないデジタル・情報通信

また、平成のころに持て囃された
「IT」
「ICT」
といった情報通信技術は、ヒトと共有し、ヒトをサポートし、ヒトに奉仕し、ヒトを豊かにするような、ヒトを邪魔しないし、ヒトを攻撃しないような、そんな方向性をもつコンピューティングや情報通信ないしその使い方でした。

令和の時代、
「IT」「ICT」
と呼ばれたものは、
「DX」や「AI」や「RPA」や「リモート」
といった装いを変えて取り沙汰されるようになりました。

これは、単に名前が変わっただけではありません。

ヒトに優しい、ヒトに奉仕する、ヒトを攻撃しない
「IT」「ICT」
から進化・発展した
「DX」や「AI」や「RPA」や「リモート」
は、使えないヒトや風習や慣行を排除し、使えないヒトや風習や慣行と競争し、張り合い、使えないヒトや風習や慣行を攻撃し、駆逐し、排除し、殲滅する、といった方向性をもつコンピューティングや情報通信ないしその使い方を示唆しています。

新しい環境や新しいゲームのロジックやゲームのルールを見据えて、自分の価値を再定義、再構築して、社会や環境に適合していかないと、知らない間に社会の隅に追いやられる、それが令和の時代ではないでしょうか。

令和の時代がすすむと、
ホワイトカラーその他「管理職」
という業務領域のほぼ全てが消滅するかもしれません。

特に、イノベーションとは無関係な、ルーティンオペレーションを担う管理職が、ことごとくいなくなるような気がします。

「昨日まで、30人、100人が出社して運営していた業務を、いきなり、AIやRPAにアウトソースする」
などという過激な業務改革をすると、ビジネスや管理オペレーションに重大な支障が出るかもしれませんし、リストラされる側も黙っちゃいないでしょうし、最悪赤旗を掲げて、かつての国鉄のような深刻な労使紛争になるかもしれません。

ところが、半年あるいは1年ほど、すでに
「リモート」状態
で、出社する人間が誰もいない状態で、
実質は「外注」しているような外観でオペレーションしている業務をAIやRPAにアウトソースする、
ということであれば、衝撃は少ないかもしれません。

また、企業での仕事が生活の糧のすべてであるホワイトカラーをいきなりリストラすると、抵抗も必死になり、大変な事件になるかもしれませんが、
「副業」
を持っているのであれば、リストラされる側の衝撃もやや緩和され、解雇騒動もソフトランディングできる期待が持てそうです。

こういう見方を前提としますと、現在、大企業を中心にグイグイ推進されている
「リモート」「副業」
というトレンドが、将来のホワイトカラーの大リストラの布石を打っているのではないか、とも思われるところです(思い過ごしであればいいのですが)。

「丸の内(東京都千代田区丸の内)」
という街は、いってみれば、生産拠点でも販売拠点でもなく、管理拠点が集中している、ただそれだけの街です。

大企業が、管理をヒトから
「AI」や「RPA」に
「アウトソース(恒久的なリモート化)」
し始めて、管理機能が大幅に小さくなると、今までの管理拠点としての丸の内が街ごと消滅するかもしれません。

今から、10年後、丸の内には、企業の本社や拠点が一掃され、ホテルやマンションだけになっているかもしれません。

また、令和の時代がすすめば、メールが上手、リモート環境において短時間で要領よく用件を伝えられる、義理人情浪花節ではなくクリアにベネフィットを伝えられる、というスキルが必要になるわけですから、
「交渉力がある」
「威圧感がある」
「オーラが半端ない」
という人的価値要素が、ビジネスにおいてその価値を喪失するのかもしれません。

平成の時代に、大きな顔をして会社内を闊歩していた
「雰囲気やオーラのある、エラそうなおっさん」
が企業から駆逐される、そんな時代も予感させます。

以上、いろいろ、雑感を申し上げましたが、私の独断と偏見に基づく、適当なものですので、どこまで当たるかはわかりません。

信じるか、信じないかは、皆さん次第です。

著:畑中鐵丸

初出:『筆鋒鋭利』No.162、「ポリスマガジン」誌、2021年3月号(2021年2月20日発売)