00121_「決断の技術」_3_「ズルくて、格好悪く、世間体の芳しくない選択肢」も検討する

全ての選択肢が抽出・整理され、決断の前提は整いました。A案・B案、整いました。

いよいよ、決断するフェーズ(局面)に来ました・・・・・が、もう一つ、「ずるくて格好悪い、世間体の芳しくない選択肢」もあるので、これを積極的に検討すべきです。

「やる」と「やらない」という最低二択という選択肢があるとお話しましたが、これ以外に、
「先延ばし」
「決断しない」
「決断から逃げる」
「ぐずぐずする」
という選択肢も存在します。

「何時やるの?今でしょ」
ではなく、
「何時やるの?後でしょ」
「今、決めなくてもいいでしょ」
ということです。

先延ばしやってる間に状況変わってくる場合だってありますし、「状況が好転するまで、往生際悪く、ジタバタして、ぐずぐずして待つ」っていうこともあります。

「即断・即決・即実行」といったことを推奨する処世の指南書も多いですが、世の中、そんな立派なキレイゴトですべてうまくいくわけではありません。

特に、「高い買い物」をするとか、重大な決断をする場合です。
「家を買うか買わないか決める」「買うとしてどの家を買うか決める」
「結婚するかしないか決める」「結婚相手を決める」
「従業員を増やすか、増やさすのを見合わせるか決める」「採用するとしてどの人間を採用するか決める」
という決断です。

そういう決断は、別に慌ててやる必要ないかもしれません。

「結婚」「家を買う」とかっていう決断って、これ一生もんの決断ですからね。
どんなに、いい異性でも、短所や欠点はあるはずです。

結婚なんかでいうと、結婚するのは自由ですし、簡単です。
他方、結婚は自由だけど、離婚は自由ではありませんし、結婚した関係はいつまでも続きます。

「いつまで続けるべきか」っと言われると、それはずっと続きます、死ぬまで続きます、という答えになります。

そして、別れるのにものすごいエネルギー要りますからね。

芸能人が、ビビッとインスピレーションで、いきなり「結婚しちゃいました」とかよく報道されますが、たいてい、その後が大変です。

家族や先輩や友人や恩師の話を聞いてからでもいいはずです。

とはいえ、女性からすると、「ぐずぐずしてると私も年取っちゃうし、先延ばしは困る」という話があり、焦っちゃうかもしれませんし、これは立場に依存します。

少なくとも、女性でも焦っていない方や、男性側としても劣化の心配がない方については、「別に、そこまで焦んなくても良いのに、何でそんなに慌てて決断するの?」という状況があったりします。

決断する、決断しない、という二択のほか、
「先延ばしをする」
「決断しない」
「決断から逃げる」
という、
「ずるくて格好悪くて世間体の芳しくない選択肢」
も必ずありますので、そういう「第三の選択肢」も必ず織り込むべきです。

もちろん、取引相手や決断に関わる関係者等の周囲からは、
「格好悪い」
「優柔不断」
「卑怯」
「男らしくない」
と言われるかも知れませんが、重大な決断であれば、いくら悩んだって、差し支えありません。

世の中、あまり考えず、インスピレーションに突き動かされて、慌てて、雑に「エイ、ヤ!」でやって、「あの果断な決断で、万事、うまくいった」という例は、実はあんまりなかったりします。

後から考えたら、「もうちょっと考えてからでも、良かったかな」という事例が多かったりします。

例えば、「不動産を買う」「結婚」「従業員を採用」といった事柄です。

従業員採用は、特にそうです。

どんなにいい若者や中途採用希望者が来たからといって、インスピレーションだけで速攻採用するのは危険です。

採用するのは自由ですが、解雇すんのは大変ですから。
「採用したら、関係はいつまで続きます?」
って、定年までです。
最長40年とかです。
本当に定年までずっと居続けちゃう可能性もあったりします。

「結婚は自由だが、離婚は不自由」「採用は自由だけども、解雇は不自由」
という畑中鐵丸の言葉もあります。

非常に重大な決断は、あんまり早く決めなくていいのかもしれません。

何でもかんでも、そんなに急ぐことはありません。人生長いですから。

著:畑中鐵丸