00249_ケーススタディ_探偵社を、探偵する!?

<事例/質問>

ヴィンテージ時計のリユース業者に振り込んだお金が、返ってきません。

電話はつながらない。

ホームページは立派だが、代表者の名前は頭文字だけ。

本社所在地として大書きされたビルを地図アプリで検索すると、出てくるのは貸し会議室と、集合郵便受けでした。

「こうなったら、探偵社に調査を依頼するしかない」
と思って、興信所のホームページをいくつか開いてみました。

見積金額の桁数を見て、ため息をついています・・・。

<鐵丸先生の回答・アドバイス・指南>

「敵を知り、己を知れば百戦危うからず」
と申しますが、敵を知るために、こちらの兵糧(資金)を使い果たしてしまっては、戦う前に干上がってしまいます。

依頼を検討しているその興信所、本当に信頼できますか。

探偵社も、興信所も、調査会社も、ほぼすべて
「探偵業」
の届出が必要な許認可業種です。

リユース業者も同様で、
「古物商」
の届出が必要です。

ご安心ください。

あなたが今まさに、依頼しようとしている興信所の素性は、実は、コーヒー1杯分程度で、あなた自身が調べることができます。

許認可業者は、素性を当局に預けている

古物商、探偵業——これらは、都道府県公安委員会への許可・届出が必要な業種です。

「探偵」「古物」「風俗」、
いずれも
「警察が監督するビジネス」
という点では同じです。

警察が管理しているということは、そこには必ず、業者が自ら提出した
「氏名」「住所」「役員構成」
などが書かれた公的な書類が存在することを意味します。

これを活用しない手はありません。

まず「リスト」で存在を確認する

警視庁文書課(または各都道府県警察・情報公開窓口)に出向き、探偵業届出業者の一覧や届出状況を確認します。

ここで確かめるのは、その興信所の名前が、リストに
「ある」

「ない」
か。

もし見当たらなければ、無届け営業の可能性があります。

それだけで、相手のメッキは1枚剥がれます。

ホームページ上の屋号と届出上の屋号が、数文字だけ異なっているケースもあります。

「〇〇探偵事務所」

「〇〇総合調査事務所」。

そのわずかなずれの中に、相手の都合の悪い事情が潜んでいることがあります。

コーヒー1杯の値段で届く、届出書の写し

存在を確認できたら、届出書そのものの写しを請求します。

「情報公開請求」
というものです。

東京都・警視庁の場合、閲覧するだけなら無料。

写しの交付を受ける場合は、コピー代などの実費負担が必要になります。

白黒1枚10円程度のことが多く、全体でも数十円から数百円程度に収まるケースがほとんどです。

この程度の金額で、代表者名・役員の氏名・開業年月日など、相手の情報が、手元に届くということです。

ホームページに
「業界歴20年」
と華々しく書いてある探偵社が、届出書の上では昨年登録したばかりの新参者だった、ということも、珍しくありません。

「ノリ弁」が返ってきたら、次の手を使う

もちろん、警察も個人情報保護を盾に、肝心な部分を黒く塗りつぶしてくる(いわゆる「ノリ弁」状態で開示する)ことがあります。

あるいは
「不開示(見せない)」
という決定をするかもしれません。

審査には2週間程度かかります。

その間は、怒りを抑えて、冷静に準備を整える時間に充てましょう。

もし開示された書類が真っ黒だったり、不開示だったりした場合、その時初めて弁護士に相談し、
「弁護士会照会(23条照会)」
を検討します。

弁護士会を通じて、官公庁・銀行・通信会社といった普段は口の固い相手にも、正式な回答を求めることができる制度です。

ただし、弁護士への依頼費用が別途かかります。

数十円の情報公開請求で埒が明かなかった場合の、次の一手として知っておく価値はあります。

結論:まずは数十円の窓口を叩く

興信所の何十万円という見積書の正体は、知っている側と知らない側、その差をお金で埋めるビジネスです。

要するに、
「相手がどんな会社なのか分からない」
という不安を、お金で解消するサービスです。

行政の情報公開はというと、消費者の不安を少しでも減らせるように用意している仕組みです。

興信所に高額で調査を依頼する前に、まず、その興信所を調べましょう。

警察署の、役所の、文書課の窓口。

その奥に、数十円で受け取れる相手の
「すっぴんの履歴書」
が、静かに待っています。

まあ、私なら、ヴィンテージの時計を買う前に、そのリユース業者を調べていたかもしれませんね。

著:畑中鐵丸