00155_企業とは(2)_20111020

前回から実際の企業運営現場に即した仕事のお作法を述べる
「仕事のお作法・各論編」
に入っておりますが、各論・序論として、
「そもそも企業がどのように運営されているか」
ということをザックリと概観しております。

1 仕事を通じて奉仕する対象である「企業」とは

(3)企業の生態その2・経営資源の調達と活用

経営の基本方針やこれを実現する代表者や執行者が決まって、内部統治体制(ガバナンス)が整った企業は、次の段階として、経営資源を調達し、あるいは調達した経営資源を活用する、という活動に移行します。

ここにいう経営資源とは、よく言われる、ヒト(労働力)・モノ(設備や原材料)・カネ(資金)のほか、第4の経営資源と言われるチエ(技術・情報・ブランド)が挙げられます。

すなわち、企業は、資本を募ったり融資を得たりしながら資金を調達し、集めた資金で労働者を雇い入れたり設備や原材料を購入し、これらを活用して製品や商品を作り出したりサービス提供体制を整えたりします。

さらに、研究開発や情報収集を通じ、技術、ノウハウやブランドを創造・確立するとともに、企業経営の様々な局面でこれらを活用していきます。

このように、企業は、さまざまな経営資源を調達・活用しながら、製品・商品やサービス提供体制という形で、企業内部に付加価値を創出し、蓄積していくことになります。

ただ、
「付加価値を創出し、企業内部に蓄積する」
というだけでは企業活動としては不完全といえます。

企業は、次の段階として、自己の内部に蓄積した付加価値をキャッシュに転化させるための活動を行うことになります。

(4)企業の生態その3・営業活動

「自己の内部に蓄積した付加価値をキャッシュに転化させる」
という企業の生態ないし活動は、一般的に営業活動と呼ばれます。

なお、会計の世界では、
「営業活動によって、企業内部で格納されている商品在庫やサービス提供体制が、キャッシュに変わっていくプロセス」

「収益の実現」
と定義したりします。

営業活動によって、
「商品等がカネに転化し、そのカネが再び、経営資源として活用される」
というサイクルが生まれますが、この循環的な生態を繰り返すことにより、企業は継続して発展していくことになるのです。

ところで、営業活動は、営業ターゲットの属性によって、B2BとB2Cの2種に分類されます。

B2Bとは、“Business to Business”の略称であり、企業間取引、あるいはコーポレートセールス(ホールセール)を指します。

これに対して、B2Cとは、“Business to Consumer”の略称であり、消費者向営業、あるいはコンシューマーセールス(リテール)を指します。

このような分類がなされるのは、前記2種の営業は、採用される戦略・戦術も、活動の上で服すべき規制も、まったく異なることに基づきます。

すなわち、B2B営業においては、
「潜在顧客基盤が少ない反面、取引規模は大きく、また緻密で論理的な購買行動を取る顧客に対する活動」
という特徴があり、このような特徴に適合した戦略・戦術が採用されることになります。また、規制面では、B2B営業においては企業間の反競争行為(競争阻害行為)を禁止する独占禁止法が目を光らせることになります。

他方、B2C営業においては、
「低廉な取引価格と、感情的で衝動的な購買決定をする不特定多数の顧客」
を前提とした戦略・戦術(マスマーケティング)が採用され、また、規制面では、消費者契約法や特定商取引法に代表される消費者保護規制が働くことになります。

(5)企業の生態その4・決算、会計報告及び納税

企業は、以上のように、
「ヒト・モノ・カネ・チエという経営資源を調達・活用して商品等といった形で内部に付加価値を創出・蓄積し、これら付加価値を営業活動によってカネに転化させ、さらに転化したカネを再び経営資源として活用する」
という循環的な生態を永遠に続けて成長を遂げていきます。

とはいえ、以上のようなプロセスが
「途切れることなく、ダラダラ続く」
というわけではありません。

企業の活動は一定の期間毎に区切られ、その活動内容が会計的に記録され、整理されていきます(期間損益計算)。

このような計算の結果は、経営成績(P/L)・財政状態(B/S)という二元的切り口で表現されて、投資家や債権者に整理して報告されるとともに、産み出された利益の中から一定割合の税金を税務当局に納める、ということが行われます。

このように、
「一定の期間毎にその活動の成果が整理され、利害関係者(ステークホールダーズ)に報告する」
というのも企業の特徴的な生態といえます。

以上、典型的企業の生態・活動を2回にわたって概観してまいりました。

次回以降、これら企業の生態・活動の各局面において生じる様々な仕事に関し、その内容を解説するとともに、それぞれの仕事において推奨されるべき遂行指針を
「仕事のお作法・各論」
として述べてまいります。

著:畑中鐵丸

初出:『筆鋒鋭利』No.050、「ポリスマガジン」誌、2011年10月号(2010年9月20日発売)