著作・講演実績・メディア掲載実績のご紹介

経済界連載「鐵丸弁護士直伝!勝ち組企業養成講座」

其ノ弐拾六「開発委託契約書はよく読むべし」

今回の相談者

株式会社松友引越便 社長 松友等(41歳)

相談内容

 先生、商売は、順調で、儲かってしゃーないですわ。
 とはいえ、ウチは、学生とか外国人とかをむっちゃ安いバイト代で使うんで、人集めんのでも一苦労なんですわ。ずーっと大阪の芳本総合アルバイトあっせんセンターちゅうところに人集めお願いしてたんですけど、何せマージンきつくてやってられませんねや。
 ほんでインターネットで直接バイト募集しよかあちゅう話になりまして、何社かプレゼンさせて、東京の大手業者にシステムやらホームページの制作やらを全部お願いすることにしたんですわ。初期費用は高いですが、保守とか更新とかは地元の安い業者に任せればええかな、と思てます。
 業者の担当者は、定型的なもんやから適当に判子ついといてくれ、みたいな感じで業者の作った契約書案を渡しよったけど、昔、そんな感じでごっつ不利な契約書に判子ついてしもうた経験もあるので、一応、先生に見てもらおう思たんですわ。それなりに値が張る取引なんで、何や注意点とか書き直す点とかあったら、あんじょう教えたってください。

其ノ弐拾七「商品売掛先に騙された!」

今回の相談者

株式会社ウッディータイヤ 社長 鈴木 有働 (37歳)

相談内容

 先生、いつもお世話になっています。
 ほら、ウチが輸入総販売代理店の権利を買ったイタリアのメーカーのタイヤあんじゃないすか。最近新製品出したんすけど、これ、今、スゲー売れてんすよ。
 ところで、ちょっと前、若手実業家の会合で知り合った人間がいるんです。結構いい身なりで、いかにもやり手のビジネスマンみたいな感じなんですよ。彼が言うには、東北地方を中心に手広くカー用品のチェーン店をやっている企業のトップだっていうことで、いただいた名刺みると、「内村カー用品チェーン CEO 内村輝夫」って書いてある。
 その内村が、ウチの扱っているタイヤをどうしても売ってほしい、ていうんですよ。
 意気投合したこともあり、在庫でスポーツタイヤが400本ほどあったんで、売りましょうという話になったんです。
 翌日ウチのオフィスで注文書を書いてもらい、引渡方法については「一刻も早くほしいので、こちらからトラックで取りにいきます」ってことで、三日後にトラックで持っていきました。
 その後、請求書を送ったんですけど、待てど暮らせど入金がされない。会社の電話もつながらない。
 携帯の発信履歴が残っていたので、公衆電話からかけたらやっとつかまえることができました。
 問い詰めたところ、「内村カー用品チェーンは屋号で、私は個人事業主です。タイヤはすでに売却済。現在資金繰りが苦しいので代金は待ってほしい。破産も検討している。」なんて言っている。「そんなの詐欺じゃないですか。名刺のCEOって普通大きな会社のトップって意味でしょ」って怒鳴ったら、内村は笑いながら「CEOは"チョット・エロい・オヤジ"の略称です。法人代表者の意味ではなくて、ジョークで使っているだけ。」なんて言い出す始末です。
こんなの当然詐欺でしょ。なんとかして下さいよ。

其ノ弐拾八「国際契約での仲裁地の引っ張り合い解消法」

今回の相談者

株式会社ビューティーホワイト 社長 陣内 紀子(35歳)

相談内容

 先生、当社の販売店網は、昨年ついに日本を網羅し、今年から、いよいよ念願の感慨進出に着手する運びとなりました。
 第1段として、ロサンゼルスを中心にダイエット用サプリ等の健康食品販売を広く手がけているハリウッド・スタイル社(以下、「ハ社」)と業務提携することになりました。
 当社は、ハ社の商品の日本総販売代理店となり、当社の販売店網を通じた販売活動を展開し、他方、ハ社にも同様の形で当社のカリフォルニア州の総販売代理店として当社の美白化粧品を販売してもらう予定です。
 先月もロサンゼルスに行ってきて、契約条件の詰めが終わり、先日、ハ社の法務担当から業務提携契約書案が送られてきました。
 ところで、当社には商社出身の常務がいるのですが、彼曰く「この契約書案では仲裁地がロサンゼルスになっており、いざ紛争になったら極めて不利です。私は商社員時代に相手国仲裁を経験しておりますが、多大な時間とエネルギーを消費したあげく、当社には非常に不利な仲裁判断が下されました。仲裁地は絶対日本国内とし、一歩も譲るべきではありません」と言い、ハ社と全く調整がつかない状態です。
 私としては、早く契約したいのですが、常務の話も気になるところです。
 両方とも納得できるような妙案はありませんでしょうか。

其ノ弐拾九「食品加工委託先の偽装行為防止法」

今回の相談者

株式会社木村商事 社長 木村洋一 (41歳)

相談内容

 ご存じのとおり、当社は、東北の食品加工会社に、いわゆるOEMちゅう形で、当社ブランドのシューマイやギョーザやハンバーグやらを作らせてスーパー等の小売店に卸しております。
 ところで、最近、北海道の食品加工会社が、牛肉コロッケに豚肉や羊肉入れたり、賞味期限切れたコロッケをもう一回作り直したり無茶苦茶やっとったちゅうことがニュースになってます。
 先日、当社の卸先の大手スーパーのサトームイカ堂の部長さんとゴルフしたとき、「御社の製品は大丈夫でっか?委託先さんの管理はちゃんとやったはるんでしょうな。今度、契約の状況とかチェックさせていただきますからね」と釘をさされました。
 委託先の会社探してきよった役員はクビになって辞めてもうてますので、どんな委託先でどういう話し合いがあり、委託の取決めしたのかは私自身ようわかってません。
 委託先との契約書についても、クビにした前の経理部長が紙ぴら1枚の頼りないやつを適当に作りよったみたいですが、こちらが判子押した契約書のコピーしかない状況です。おそらく、こちらが押印したのを委託先に送っただけで、まだ相手が押印したのが返って来てないんやと思います。何せ、当社もそうですが、委託先はええ加減な会社ですから。
 取引の力関係上、こちらからきちんとした契約書作って「ちゃんと判子押せ」ゆうたら、委託先も仕事ほしいでっさかい応じてくれると思うんですが、どんな契約書にしたらよろしいでしょうか。

其ノ参拾「不良社員の正しいクビの切り方」

今回の相談者

株式会社内田石材加工 社長 内田雄也 (68歳)

相談内容

 先生、聞いてください。フザけた話なんですよ。
 ウチの従業員で、安岡っていうどうしょうもないのがいましてね、この安岡が、会社のカネをネコババしたんですよ。300万円もですよ。
 なんでもクラブ遊びにはまったらしく、「社長の指示だ」なんて言って会社の経理をだまして勝手に会社のカネをひっぱってやがった。いい加減な奴ってことは前からわかってたんですが、営業成績もそこそこで、目をかけて育てていた奴ですから、裏切られたのが悔しくて悔しくて。
 とりあえず、「この野郎、警察突き出すぞ」って怒鳴りつけて、すべて白状させて、詫び状書かせて、「追っての沙汰待ち」ってことにして自宅待機にしていたんですよ。
 そしたら、安岡の野郎、社労士だか司法書士だかに相談したらしく、「私は横領したわけではない。会社の指示に基づく得意先の接待をするため、交際用経費を仮払名目で預かっただけ。領収書もすべて取ってある。今は、会社の名利で自宅にて待機しているが、今月分の給料を払ってほしい」なんて内容の文書を送りつけてきやがった。
 こんなのありですか?どういう風にすりゃいいんですか?