LEC実務家ネットワーク会報 第15弾 2001年11月28日


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LEC実務家ネットワーク会報 第15弾
  発行日:2001/12/05 発行者:LEC実務家ネットワーク事務局
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 とうとう今年もあと残すところ1ヶ月となってしまいました。
何となくあわただしくなってまいりましたが、いかがおすごしでしょうか。
さて、今回の実務家ネットワーク会報では、独立開業する人たちへのアドバイ スを実務家の先生にお伺いしたものと、当ネットワークにご参加いただいてい
る先生の最新著書をご紹介いたします。
                 LEC東京リーガルマインド
                  学術企画営業部    担当:工藤

中略

◆当ネットワークにご参加いただいている
              畑中先生の最新著書をご紹介いたします。◆ 
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 「アメリカ式戦略的コンプライアンス経営」
        企業を襲う法的リスクと予防と危機
  弁護士(日本国、アメリカニューヨーク州) 畑中 鐡丸
                    弘文堂 1,800円   
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アメリカではなんでも裁判になっており、訴訟件数は年間1500万件以上に のぼっている。
「でこぼこ道路訴訟」:道路の穴で転んで怪我をしたと市当局を訴え、1人当 り100万ドルを超える訴訟となった。
また、PL法では、濡れた猫を電子レンジで乾かし死んでしまったケースがあ る。使用書に注意書きがなかったとして数万ドルの賠償金を勝ち取っている。
その他、数え切れない医療ミス訴訟があり、特に日本企業はセクハラや不当解 雇、欠陥商品、違法行為と幅広く訴えられている。
去る8月アメリカに進出した音楽会社をアメリカの人気女性歌手グループが契 約違反で・・・、同月イリノイ州では、自動車会社が5人の元従業員に不当解 雇で損害賠償を提訴されている。解雇に年齢人種差別があったと訴え米雇用機 会均等委員会がその主張を認めている・・・。また、食品会社は独禁法で、タ イヤ会社は欠陥品で、個人研究員は産業スパイ容疑で・・・訴えられている。

アメリカは訴訟社会といえるが、その中でも日本企業は、金持ちであり訴訟嫌 いですぐ示談に応じるといわれ、狙われているのが現実である。訴訟は勝つこ とよりも賠償金を取ることを目的とされており、高額な賠償金を設定し示談や 和解を持ちかけてくるケースが多い。(示談でも弁護士の成功報酬は30%で ある。)

近々日本も上記のアメリカのような訴訟世界に近づくであろうし、アメリカ企 業は日本国内でもアメリカ国内と同様な活動をする為にWTOなどを介し様々 な圧力をかけてくるであろう(会計の世界では既にグローバルスタンダードが 導入され、次のグローバル化は商法、企業法務などといわれている)。企業は このような世界の中で、同業他社と競合しながら新製品の開発、新規市場の開 拓を行っていかなくてはならなくなるのである。経営者にとってはぞっとする ような世界ではあるが、アメリカ企業は既にそのような世界で生きており、そ の競争力を持ってして世界中の市場で勝利を収めているのである。そのいい例 がマイクロソフトである。Windowsの製品価値も高いが、ビルゲイツの 父は弁護士でありWindowsの価値をいち早く見出し同業他社に敵対的訴 訟をかけM&Aなども使い競合他社を早い段階で封じ込め、更には進出先国の 法律を入念に調べその国で独占的立場を築きつづけてきた。その結果が今のマ イクロソフトを作っているのである。
日本では、法律を戦略的に使うまでにはいっておらず、解雇または退職した元 従業員が不当解雇を主張すると共に残業代などの未払い賃金を労政事務所や組 合などの様々な機関を利用し要求してくるケースやセクハラでの経営者、専務 などの経営者の責任を追及する損害賠償が目立ってきている段階である。が、 無料TAXIの行政訴訟による新マーケティング方法を勝ち取った企業やNT Tのダークファイバーの開放に寄与した企業もあり、今後が楽しみである。

元々経営上の様々なリスクを避けるためにコンプライアンス経営という概念が あるが、本書ではもう一歩進め、リスクを押さえながら新市場の獲得、他社と の競争に勝つツールとして位置付け、コーポレイトコンプライアンスプログラ ムの導入を実践的に指南している。実用的なコーポレイトコンプライアンスプ ログラムの策定、導入方法を細かく説明しており、且つ、最後の章ではケース スタディーを説明している。これらの説明はビジネスマンにも分かるよう平易 に書かれており、非常に実用的である。

法律的にダークな部分にスポットを当て、この部分を他社に先駆けいち早く獲 得、開拓することによりビジネスチャンスをものにするために、実稼動するコ ーポレイトコンプライアンスプログラムを導入しコンプライアンスリスクを管 理しながら利益を向上させていく。
「コンプライアンスリスクを管理できる企業の利益は永続的に向上していく」 という考えにもとづいている。
日本企業に新たな武器を与えてくれる一冊であり、法律を市場開拓や新マーケ ティング手法の実現のために使うという動きの芽が出てきた“今"にピッタリ の一冊である。

第1章 コンプライアンスとは何か
1 企業経営とリスク
2 リスクに対する日本的認識
3 企業を取り巻く法的リスク
4 法的リスクに対する日本的対応の特徴
5 旧来型対応の限界
第2章 世界標準となるコンプライアンス経営
1 アメリカ企業の法的リスクに対する考え方
2 アメリカ企業が実践するコンプライアンス経営
3 コンプライアンスと企業価値の関係
第3章 コーポレイト・コンプライアンス・プログラムとは何か
1 コンプライアンス・プログラムの重要性
2 コーポレイト・コンプライアンス・プログラム導入基本理念
第4章 コーポレイト・コンプライアンス・プログラムの作り方
1 組織作り(コンプライアンス委員会の設立)
2 コーポレイト・コンプライアンス・プログラム策定前の法的リスクの
調査・分析
3 コンプライアンス・プログラムの具体化
4 コンプライアンス・プログラムの実施・運用
第5章 コンプライアンス違反が発生した場合の危機
1 危機管理における基本的な心構え
2 有事体制の構築
3 事故調査(内部調査)
4 外部への情報開示
5 各種事後対策
6 コンプライアンス・プログラムへのフィードバック(失敗を生かす方法)
第6章 実践的コーポレイト・コンプライアンス・プログラムを作るための
    ヒント
1 コーポレイト・コンプライアンス・プログラムのゴール
2 社外人材活用における注意点
3 トップの役割
4 内部告発の取扱
5 プロセス重視の発想
第7章 コンプライアンス戦略 ケーススタディ
1 コンプライアンス・プログラムの導入戦略
  (フランチャイズ企業を例にして)
2 情報管理コンプライアンス戦略
3 従業員による犯罪行為等の抑止におけるコンプライアンス戦略
4 危機管理戦略-1-(独占禁止法違反)
5 危機管理戦略-2-(証券規制違反)
6 まとめ

本書を読み、「日本企業は技術力を持って世界経済に勝利してきたが、アメリ カは金融工学と取引のルール化(商法)の力を持って勝利してきている。技術 力を維持向上させていくことはもちろんだが、企業の血である資本を集め、成 果品の価値を守りより有利に販売する方法を獲得し総合力で競争しなくてはア メリカ企業や外資企業に勝てなくなってきている。このためには、どうしても コーポレイトコンプライアンスプログラムが必要であり、守りにも攻めにも使 える道具としてコストをかけてでも導入し、あらゆる手を使ってより高い利益 を獲得していくという姿勢が重要である。」というふうに考えるようになりま した。
企業経営者と法律家が協力しその企業に合った新しい武器を開発し、厳しくな る環境の中でも成長し続けていくことを願います。

著者紹介 ******************************
弁護士 畑中 鐵丸 
1968年5月 大阪府生まれ。
1987年3月 ヴィアトール学園 洛星高等学校(京都市)卒業
1991年   東京大学法学部在学中司法試験・国家公務員T種合格
1992年3月 東京大学法学部卒業
1992年4月 新日本製鉄株式会社入社
1996年4月 弁護士登録
        商事訴訟、企業法務、一般民事事件、家事事件、
        各種刑事事件、特殊事件など幅広く担当
        1996年度第二東京弁護士会情報公開制度推進委員会幹事
        1997年度日本弁護士連合会情報公開法・民訴法問題対策
        本部委員
        1997年度関東弁護士連合会シンポジウム準備委員会幹事
1998年 ペンシルヴェニア大学ロースクールに留学
1999年 企業法、ファイナンス及び投資規制法、企業コンプライアンス
      プログラム、財務会計論等を研究
2000年 ペンシルヴェニア大学法学修士号取得
      ニューヨーク州司法試験合格
      Kirkland&Ellis法律事務所(シカゴ)勤務
      企業法務(M&A、ベンチャーファイナンス等)及び国際合併・
      ライセンスと担当
2000年10月 帰国
2001年6月 中島・宮本・畑中法律事務所パートナー

所属研究会
 著作権法学会、法とコンピューター学会

専門分野
 国際商事紛争及び企業法務(コンプライアンスプログラムの導入、
 運用を含む)

主な著書
  ・「財務最高責任者(CFO)養成講座I」
(分担執筆、BSIエデュケーション社)
  ・『eビジネス・ロー』(弘文堂 共著 01年1月出版)
  ・『市民のための情報公開』(明石書店 共著)

執筆
  ・『成長企業が知っておくべき独禁法リスクマネージメント』
    (法律情報のポータルサイトHOUTAL)
  ・『国境またぐEコマースの法的リスク(上)(下)』
    (日経ビジネス01.01.29 2.5号)
  ・『米国統一商事法典第9章(1998年改正版)の紹介』
    (国際商事法務444号・445〜454号 共著)
  ・『法務戦略 第1回』
    (Security セキュリティ 第1号)
  ・『債権先に対する融資とコンプライアンス』
    (金融コンプライアンス 11  2001 vol3 No.11)
  ・『法務戦略 第1回』
    (Security セキュリティ 第1号)

個人WEBサイト  http://www.tetsumaru.com
事務所WEBサイト  http://www.nakashimalaw.com
E-mail  

中島・宮本・畑中法律事務所
  〒105-0001
  東京都港区虎ノ門3-20-4 虎ノ門鈴木ビル7階
  TEL 03-5777-5157 FAX 03-5777-5158

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